HOME > ソフトウェア > CST STUDIO SUITE > アプリケーション > シングルモード結合バンドパスフィルタ(6ポール)
この記事では、フィルタ設計チューニングに必要な全情報を内包するよう連続的に調律された共振器の入反射群遅延応答に基づいた、結合共振器のチューニングを実施しています。通過帯域外の拒絶損失を大きくするため、有限周波数ポールのペアで単一伝送をゼロとしています。このバンドパスフィルタモデル全体に対するフィルタ応答の最適化とチューニングには、MW STUDIOのMOR周波数領域ソルバを使用しました。チューニングにおいてはモデルをいくつかのセクションに分け、後でDESIGN STUDIOを使用してフィルタ応答を統合することでプロセスの高速化を図っています。
解析対象とする6ポールのくし型バンドパスフィルタは、中心周波数 1793 MHz、バンド幅 170 MHz、VSWR反射損失 1.2(-21 dB相当)、また1920 MHz以上の通過帯域外での遮断量は-30dB未満です。伝送ゼロのペアを導入して四極子セクションを実現するためにU字タイプが選択されました。ジオメトリはごくシンプルであるものの、キャビティの境界となるアイリスの無い開いた導波環境にポストがあるため、チューニングは非常に難しくなっています。一方、ポストのチューニングについては、導波路の壁との間隔を変えることでキャパシタンスを調整しました。
単純なチェビシェフ型応答へのチューニングはまず、連続チューニングを行った共振器の群遅延応答の最適化によるクロス結合から始めます。このプロセスについては[1]と[2]に詳しく述べられています。手順はMW STUDIOのポストプロセステンプレートで自動化することができます。最適化のための複合ゴールの設定も可能です。この方法の利点は、チューニングの各ステージで変化させるパラメータの数を制限できることです(ここでは結合バンド幅と共振周波数の2パラメータ)。
ジオメトリが対称形であることから、チューニングするのは3つの共振器のみで済みます。 残りの未知のパラメータは共振器3と4の間の結合バンド幅のみです。 フィルタそれ自体とチューンを表すパラメータは全部で7つです:入力結合ディスクから1つ目の共振器までの距離、2つ目と3つ目の共振器の間隔、3つ目と4つ目の共振器の間隔、共振器の長さ。 群遅延応答は補間が非常に難しいことから、これとは別の、次のような方法を採用しました。2つの共振器の上部に1つずつ合計2つのディスクリートポートを定義し、伝送パラメータの隣り合ったピークから結合距離を割り出しました。ジオメトリは最終的に図1のようになりました。
最適化は、フィルタ全体に対して行うのではなく、モデルをいくつかのサブセクションに分割して行いました。交差部分には、充分なモード数を考慮するようにしたウェイブ
ガイドポートを設定しました。Sパラメータ計算はMW STUDIOを使用します。サブ
モデルのメッシュセル数はモデル全体のメッシュセル数よりも少なく、計算時間が非常に短いため、メッシュ密度を高めて精度を上げました。カットオフを下回る周波数を考慮するためにMW STUDIOの周波数領域ソルバが適しており、ここではMOR(Model order Reduction)ソルバを使用しています。図3はその手順を示したものです。
4つのサブモデルだけでフィルタ全体を表すことができます。
サブモデルはDESIGN STUDIOにロードし、互いに接続しました。サブモデルのローカルパラメータはDESIGN STUDIOのグローバルパラメータに割り当て、アクセスすることができ、これを使用した最適化が可能となります。DESIGN STUDIOでは補間スキームを用いることにより、最適化のステップごとの再計算でSパラメータの計算回数が膨大な数にのぼるのを防ぎます。
次のステップとして、容量性クロス結合スタブの長さを伸長することで結合バンド幅を増加させ、[3]や[4]に記載されているような4つ組タイプのふるまいを表出させます。
最後に、再度クロス結合を増加させ、伝送ゼロ点が通過帯域の上下に対称配置されるようにしました。次の2つの図はそのジオメトリとSパラメータを示したものです。