2024年12月11日

HAPSと衛星通信の違いは何?それぞれの基本情報も解説

衛星通信で利用される帯域は?どんなサービスに使われるかについても解説

HAPSは、無人航空機を用いて通信インフラを提供するサービスのことです。これまで広く取り入れられてきた衛星通信にはない要素も多く、日本でも今後の普及が期待されています。今回は、そんなHAPSと衛星通信の違いを詳しく解説。双方について学びたい方は、ぜひ最後までお読みください。読了後は、ビジネスの展開に役立つ情報が得られるでしょう。

HAPSの基本情報

まずは、HAPSがどのようなシステムであるかについて基本的な情報を説明していきます。

HAPSの用語

HAPS(High Altitude Platform Station)は「無人航空機を使って無線通信を提供するサービス」のことであり、「ハップス」と発音します。HAPSは「空飛ぶ基地局」 という別名も持っており、今後の商用・実用化に向けて大きな注目を集めている新たなシステムの1つです。

HAPSで使用される航空機は基本的に成層圏を飛行するので、一般的な航空機の飛行高度と比べると高度が高く、空気抵抗も少ないといわれています。また、システムを動かすために、太陽光発電などが採用されているところもHAPSのポイント。同システム内で電力を捻出し、数ヶ月にもわたる飛行を実現させます。

HAPSの部類

HAPSには、大きく分けて「LTA(Lighter Than Air)型」と「HTA(Heavier Than Air)型」の2種類が存在します。

HAPSの種類タイプ特徴
LTA(Lighter Than Air)型浮力を活用して飛行するタイプ ・少ないエネルギーで高度をキープすることができる
・気候に左右されやすい
HTA(Heavier Than Air)型揚力を活用して飛行するタイプ ・操作性が高く、運用しやすい
・スピードを意識した飛行も可能である

このように、LTA(Lighter Than Air)型とHTA(Heavier Than Air)型にはそれぞれの特徴があるため、HAPSを導入する状況により適した種類を選ぶ必要があるでしょう。

HAPSの長所・短所

HAPSは今後の技術発展が楽しみなサービスですが、長所と短所の両方を合わせ持っています。それぞれの内容を表にまとめたので、参考にご覧ください。

HAPSの長所 ・成層圏は季節風などによる影響が少なく、安定した通信環境が維持できる
・地上のみの場合と比べると、空上を利用したほうが通信インフラをより広い地域まで提供することができる
・定期的なメンテナンスが可能であるため、導入後の対応が柔軟に行いやすい
HAPSの短所 ・太陽光発電をメインに利用するので、発電量が減少しやすい高緯度エリアでは活用が難しい
・実用化に向けて、まだまだ性能の向上が必要である

上記の内容からわかるように、HAPSにはほかのシステムにない特色が多数存在します。それらの特色を活かしながら、短所を迅速にカバーし、これからの技術革新を進めていくことが期待されるでしょう。

通信衛星の基本情報

通信衛星の基本情報

ここからは、世界中の企業が関連サービスを提供している衛星通信について解説していきます。宇宙ビジネスの中でも注目度が高い衛星通信とはどのようなものなのかを知るために、詳細情報を見ていきましょう。

通信衛星の意味

衛星通信は、「打ち上げを行った人工衛星と情報のやり取りをする通信方式」のことです。具体的な方法としては、地上にある送信局が人工衛星に対してデータを送り、そのデータを人工衛星が地上の受信局に向けて配信します。これを、それぞれ「アップリンク(送信局→人工衛星)」「ダウンリンク(人工衛星→受信局)」と呼びます。

こうした流れによって世界中でデータ通信が可能になり、衛星電話や衛星放送などの関連サービスが提供できるようになりました。

なお、この衛星通信を使ったシステムの1つが「衛星コンステレーション」です。衛星コンステレーションは「複数の人工衛星を打ち上げて連携させ、運用を行うシステムや構想」のこと。通信衛星を語る上で知っておきたいシステムの1つなので、以下の記事もあわせてお読みください。

関連記事:衛星コンステレーションとは?用語や歴史について解説
関連記事:衛星コンステレーションの仕組みは?長所・短所、トレンドのポイントも

通信衛星の部類

衛星通信には、「静止衛星」と「周回衛星」といった2つの種類が存在します。まず静止衛星は、赤道上空における約36,000kmの軌道に位置する人工衛星です。静止衛星は地球の自転と近い速度で回っているので、地球から見ると静止しているように見えるところが特徴的です。人工衛星全体の打ち上げ数が抑えられる利点はありますが、通信遅延が発生しやすいところは弱点と言えるでしょう。

これに対して周回衛星は、静止衛星とは違う軌道で回転しています。多くの場合、周回衛星は静止衛星よりも地上に近い位置にあり、通信遅延も起こりにくいところがポイント。しかし、大量の人工衛星を打ち上げなければならないところが課題点です。

静止衛星と周回衛星の種類については以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひご参照ください。それだけでなく、衛星通信における今後の展望にも触れています。
関連記事:衛星通信の種類|「静止衛星」と「周回衛星」の相違点は?

通信衛星の長所・短所

続いて、衛星通信の長所と短所について情報をまとめました。代表的な長所としては、「災害や戦争が発生してもデータ通信が可能なところ」「世界中で情報通信が可能になることによって、デジタルデバイド(情報格差)が是正できるところ」が例に挙げられます。

その一方で、「アンテナを設置するために準備が必要なところ」「気候によっては通信品質が下がる可能性があるところ」が主な短所。通信衛星の情報を得る際は、こうした長所と短所の両方を理解する必要があります。

HAPSと通信衛星の違い

HAPSと衛星通信はそれぞれに独自の特徴がありますが、双方を比較するとどのような違いがあるのでしょうか。今回は、主なものを3つピックアップしました。

①ロケットを打ち上げるかどうか

HAPSは無人航空機を飛行させるため、衛星通信のようにロケットなどを打ち上げる必要がありません。よって、衛星通信と同じレベルの技術力がなくても事業に参入しやすいと考えられます。結果的に、より多くの企業が技術の向上を目指す環境が形成しやすくなるでしょう。

②国境が関係するかどうか

衛星通信が利用する宇宙空間に、国境の概念は存在しません。そのため、各国との連携を考えると、衛星通信は比較的自由に運用することが可能です。しかしHAPSで領空に入る場合は該当国の許可が必要であるので、衛星通信ほどの自由度はありません。

③より多くのコストがかかるかどうか

衛星通信は規模が大きくなりがちな宇宙ビジネスの一種であるため、HAPSと比べると多額のコストがかかります。これに対してHAPSは費用が抑えられるので、参入後に失敗してしまった場合のリスクが低減できるでしょう。

アンテナに関連した解析事例について

電磁波技術にまつわる事業をこれから始めようとしているなら、プロフェッショナルによる専門的な知見が欠かせません。

株式会社エーイーティーでは、電磁界解析ソフトウェア「 CST Studio Suite 」を使用したアンテナの解析事例を多数掲載していますので、ぜひ参考にご覧ください。

CST Studio Suiteは、あらゆる電磁界問題をカバーするOne Package Solutionとして、幅広い開発・研究分野で採用されているシミュレーションソフトウェアで、静電磁界のセンサーの計算からマイクロ波アンテナ、EMC対策、光デバイスの解析まで全てのソルバーが追加費用なしで利用できます。

さらに、使い勝手の良いユーザーインターフェイスで解析担当者の作業負担を軽減することにも貢献します。

現在使用されているシミュレーションソフトウェアにご不満がある方や、これから導入を検討されている方は、ぜひご検討ください。

株式会社エーイーティーは、30年以上にわたる「 CST Studio Suite」の豊富な実績と経験に基づき、研究・開発業務の立ち上げから運用フローの構築まで、ユーザー様に対して多岐にわたるサポートを提供しています。

導入をご検討中の方に向けて、30日間無料トライアルや簡易版ライセンスのご案内、セミナー動画やイベントを随時開催していますので、お気軽にご利用ください。

電磁波技術のプロフェッショナル 株式会社エーイーティー

株式会社エーイーティーは、電磁波技術をコアとしたスタンフォード大学発のベンチャー企業として、1988年に誕生しました。

先端の解析ソフトウェア製品を中心に、誘電率測定装置をはじめ、小型プラズマ装置、人体電磁波ファントムなど付加価値の高いハードウェア製品をご提供し、また産官学連携プロジェクトを含む研究開発を通じてお客様のご要望にお応えしてまいりました。

当社の持つ高度な専門知識と技術力、幅広いネットワーク、そして独創的な発想力を武器に、価値あるソリューションをご提案致します。

CST Studio Suiteの導入に関するお困りごとやご質問等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

メール、お電話でのお問合せ

お電話でも承ります。お気軽にご連絡ください。

TEL044-980-0505

平日 09:00~18:00

会社名
株式会社エーイーティー
所在地
〒215-0033
神奈川県川崎市麻生区栗木2丁目7番6号
TEL:044-980-0505(代表)
CST Studio Suiteは ダッソー・システムズの製品です。ダッソー・システムズについては

ダッソー・システムズ株式会社はフランスに本社を置くソフトウェア開発企業です。
CAD CAM PDM PLM シミュレーションを始めとする卓越した3DEXPERIENCEを通じてお客様の3次元設計・エンジニアリング・3次元CAD・モデリング・シミュレーション・データ管理・工程管理を強力に支援します。

CST Studio Suiteは ダッソー・システムズのシミュレーションソリューションブランド SIMULIAの製品です。

 sample