ケーブルの接続をせずに充電が可能なワイヤレス給電は、今後の技術発展が見込まれています。しかし、ワイヤレス給電にはいくつかの課題があることをよく理解しておかなければなりません。たとえば、「給電速度が遅い」「給電時にデバイスを操作しにくい」「不具合が発生し、充電ができなくなることもある」などが具体的な例です。
今回の記事では、ワイヤレス給電の課題とその対策について詳しく解説します。ワイヤレス給電に関する情報を詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
ワイヤレス給電の課題について説明する前に、ワイヤレス給電がいったいどのような技術なのか解説しましょう。
ワイヤレス給電は「無線給電」「WPT(Wireless Power Transfer)」「非接触給電」などとも呼ばれており、ケーブルと接続せずに充電ができる技術のことを指します。たとえば、専用の充電機器にデバイスを置くだけで、充電が完了するのです。
また、ワイヤレス給電には「ケーブルを装着する必要がないので、利用者が気軽に充電しやすい」「ケーブルによる感電のリスクが減らせる」などの長所があるといわれています。
ワイヤレス給電は将来性が高い技術であるため、今後は電気自動車をはじめとしたより規模が大きな機器に技術が活用されることでしょう。
ワイヤレス給電の基本的な情報についてさらに知りたい方は、以下の記事を参考にご覧ください。送電方法の種類についてもまとめています。
こちらでは、ワイヤレス給電の仕組みについて説明しています。どのような原理が採用されているのか知りたい方は、ご確認ください。
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ワイヤレス給電は多くの長所があるため、今後の普及が期待される技術です。しかし、ワイヤレス給電が持つ課題の存在にも目を向ける必要があります。ここでは、ユーザー側・企業側が感じる課題を5つ取り上げるので、ぜひご覧ください。
ワイヤレス給電は、ケーブルを使用した場合と比べて給電速度が遅いといわれています。なぜなら、直接的な接続がない分、送電の効率が悪くなるからです。
また、デバイスの温度が高かったり、充電機器に乗せる位置がずれていたりする場合は、送電効率もさらに悪くなるでしょう。
そのため、スピーディーな充電を求める場合は、ワイヤレス給電はあまり適していません。
現在使用されているワイヤレス給電の機器は、「平面的な機器にデバイスを置き、充電する」というケースが多いです。そのため、充電中のデバイスをそのまま操作することは難しいといわれています。
充電時もデバイスを操作したい場合は、ケーブルを使った従来の充電方法が適しているでしょう。
使用するデバイスのアップデートが完了していないことから、正常な動作ができなくなり、充電が始まらないケースもあります。これに加えて、スマホケースやアクセサリーが電波干渉を引き起こしてしまう可能性もあるでしょう。
対して従来の充電は、ケーブルや差し込み部分などに大きな異常がなければ基本的にスムーズに充電が開始できます。しかし、ワイヤレス給電は接続状況が目に見えない分、不具合の原因を読み解くことが難しいのです。そのため、問題の解決方法がわかりにくいと考えられています。
ワイヤレス給電の中でも電磁誘導方式(従来型)や電界結合方式などは送電可能な距離が短いため、長距離の充電には向いていません。こうした距離の長さを踏まえて開発に取りかからなければならないので、企業側としては大きな手間になることでしょう。
以下の記事では、電磁誘導方式(従来型)や電界結合方式を含むワイヤレス給電の種類について説明しています。関連情報として、ぜひ参考にご覧ください。
関連記事:【解説】コイルを使ったワイヤレス給電のタイプはどんなものがある?
こちらでは、ワイヤレス給電の種類の中でも送電可能距離が長いことで知られる磁界共鳴方式について詳しく解説しています。ぜひ、本記事とあわせてご覧ください。
関連記事:磁界共鳴方式のまとめ|ワイヤレス電力伝送の基本も説明
ワイヤレス給電には電磁波の技術も用いられているため、健康に影響が出るのではないかという意見があります。
これに対して、あくまで電磁波は細微であるとして、人体に大きな影響は与えないという意見も存在します。しかし、すべてのユーザーが安心してワイヤレス給電を利用するには、安全性について考慮する姿勢は必要不可欠となるでしょう。
今後、法整備が必要になるケースも増えてくると予想されるので、社会全体でワイヤレス給電の安全性について考える環境が必要です。そのため、技術を提供する企業側だけでなく、ユーザー側も高い意識を持つことが求められます。
なお、安全性について考えなければならないのは、ワイヤレス給電だけではありません。通信技術の一種である衛星通信にも、安全性のリスクは存在します。以下の記事では、衛星通信の持つ安全面の課題(スペースデブリ、光害など)について解説していますので、関連情報としてご覧ください。
関連記事:衛星通信の課題まとめ|克服するための対応もあわせて説明
ワイヤレス給電には、「給電速度が遅い」「給電時にデバイスを操作しにくい」など多くの課題があることがわかりました。続いて、そのような課題をカバーするために実施すべき対策について見ていきましょう。
給電速度の遅さ、操作性や不具合の問題、送電可能な距離などについては、ワイヤレス給電そのものの技術力を高めることで改善していくことになります。そのために、新しいワイヤレス給電の方法や、コイル・電極などに対する対策を考案していくことが必要です。
ワイヤレス給電が人体に与える影響についてデータを収集することで、安全性への考慮に関する対策が進められます。これによってユーザーが安心してワイヤレス給電を活用できるようになるため、事業の将来性も高まっていくでしょう。
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