
CST Studio Suite Tech Seminar 2026では、テクノロジーの未来を見据えた基調講演をはじめ、CST Studio Suiteユーザー様による事例紹介、AETによる技術セッションなど全17講演を実施しました。
また、オープンスペースでは、CST Studio Suiteを使用した研究・開発ソリューションを提供する企業展示に加え、アカデミックユーザーの皆様によるポスターセッションも開催。さらに、毎回ご好評をいただいている「CST Studio Suite サポートセンター」も開設し、ユーザー様の日々の疑問や課題解決をサポートしました。
幅広い分野のユーザー様が抱える技術課題の解決につながる情報を提供した本セミナーでは、各講演の開始時刻には多くの参加者の皆様が会場に集まり、最新技術への関心や情報収集への熱意がうかがえる一日となりました。
空間伝送型ワイヤレス給電(WPT)は、マイクロ波などの電波を用いて電力を無線で届ける技術です。京都大学 生存圏研究所では、マイクロ波電力伝送の研究に長年取り組まれており、本講演では、マイクロ波送電の歴史から最新の実用化動向までを体系的にご解説いただきました。
講演では、CSTを活用したワイヤレス給電技術に関する多彩な解析例をご紹介いただきました。研究領域の幅広さも印象的で、高周波シミュレーションに加え、荷電粒子ソルバーや熱解析など、CSTの豊富なソルバー技術を横断的に活用されている点が際立っていました。
また、国内外における法規制の整備とともにワイヤレス給電の実用化が着実に進展しているビジネス面の動向についても、わかりやすくご解説いただきました。さらに、宇宙太陽光発電という長期構想を見据え、飛行機から地上への長距離送電実験の成功など、関連する最先端の取り組みが数多く紹介され、電力が空間に常在する未来像を描く壮大な講演となりました。
その他、午前のプレナリーセッションでは、ダッソー・システムズ社によるCST Studio Suiteの最新動向と、AI・機械学習を活用した将来戦略について解説した「開発元メッセージ」、弊社 事業本部 大舘による「サポートサイト最新情報と新しいCSTライセンスモデルによる拡張性」の講演も行いました。
次世代通信規格6Gを見据えた、300GHz帯における透過型メタサーフェスアンテナの設計・評価についてご講演いただきました。CST Studio Suiteを用いた電磁界シミュレーションにより透過・放射特性を解析し、約36dBiの高利得特性を確認しました。
さらに、試作したアンテナを300GHz帯まで対応した社内保有の大型電波暗室を用いて実測評価した結果、シミュレーション結果と良好に一致することが確認されました。
これにより、設計手法の妥当性が示されました。また、位相制御範囲の拡大や広帯域化といった今後の課題についても紹介されました。
漏洩同軸ケーブル(LCX)を用いた、効率的な電磁界解析手法についてご講演いただきました。CST Studio SuiteのNear Field Sourceや各種ソルバーを活用し、大規模モデルの計算負荷を低減する解析技術が紹介されました。
独自構造を持つLCXのWPT応用事例では、電界分布やアンテナ結合特性を詳細に評価し、実用的なエリア構築の可能性を示しました。さらに、GPU活用やソルバー選定による計算時間短縮のノウハウに加え、Near Field Sourceを用いた広範囲解析の活用事例についても紹介しました。
昨今、AIの登場によりさらに需要が高まる高速伝送技術。今回はフレキシブル基板の伝送損失低減を目的とした形状最適化に対して、CST Studio Suiteを活用した例をご紹介いただきました。
変数によるモデル定義でパラメータスタディを行い、形状変数の最適化や実測では分離できない損失要素ごとの分離評価を実施。長い伝送路には回路シミュレーションを組み合わせることで効率化を図り、実測との高い一致によりCST Studio Suiteの有用性を示していただきました。
遠方界の放射パターンから基板の共振モードを推定する、機械学習を活用した先進的な取り組みについてご講演いただきました。多数の学習データ(CST Studio Suiteによる解析結果)を用い、教師なし学習によるクラスタリングで特徴的な放射モードの分類が可能であることを示されました。
また、理想条件から外れた場合の予測精度への影響など、機械学習を実務へ適用する上での課題も具体的に解説いただき、機械学習を活用したノイズ源解析の可能性と実用面の両方を学べる、多くの聴講者にとって参考となる講演となりました。
次世代移動通信である6Gは、超高速・大容量通信や広域カバレッジ、高信頼性接続の実現が期待されています。本セッションでは、デジタルツインを活用した6G開発の効率化に焦点を当て、CST Studio Suiteによる解析事例をご紹介いただきました。 Gigantic MIMOアンテナやGRINレンズアンテナ、高周波フィルタ、RIS(メタサーフェス)を対象に、設計・評価および電波伝搬シミュレーションの手法について解説していただきました。
弊社技術部では、CST Studio Suiteに関する最新技術や解析事例、日頃ユーザー様から寄せられる技術課題をもとにした実践的なテーマで、全9講演を実施しました。
本レポートでは、その中から一部講演の要旨をご紹介いたします。
第6世代移動通信(6G)を見据えたテラヘルツ帯高利得アンテナの電磁界解析において、精度と効率を両立させるための具体的なモデル化手法および解析設定をご紹介いたしました。
大規模なモデル計算で課題となるメモリ消費や計算時間に対し、各ソルバーの特徴を踏まえたソルバー選択の指針を解説。
レンズアンテナなどの光学的構造に対し計算負荷を抑えつつ高速に評価する手法や、アンテナ利得の広帯域特性を効率的に評価する実践的なワークフローをご提案しました。
EMC対策の効率化と、開発初期段階で検証を行うフロントローディング設計の重要性について講演しました。
TLM法は電子回路と3Dの電磁界をリアルタイムに処理して、不要なメッシュを大幅に削減できることから、大規模で複雑な解析の高速化に有効であることを解説しました。具体例として、車載ケーブルやUSBコネクタにおける静電気放電(ESD)の挙動や、ノイズ耐性の可視化事例をご紹介。入手困難な部品の特性再現についてはAIを活用し、SPICEモデル生成という現代的なアプローチにも言及いたしました。

企業展示ブースでは、株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所、レノボ・ジャパン合同会社および株式会社アスク、Quadcept株式会社、HPCシステムズ株式会社、GDEPソリューションズ株式会社の皆様による、CSTを活用した研究・開発に必要なソリューションに関する展示が行われました。また、弊社も展示を行いました。







最大330GHzのミリ波・テラヘルツ波に対応した大型6面電波暗室と、最新測定機器を活用した測定・評価サービスをご紹介いただきました。アンテナ性能評価や5G/6G、WPTなど幅広い分野に対応し、シミュレーション結果と実測値を比較・検証できる環境を提供。
さらに、35年以上の無線機器設計経験を持つ専門家チームによる包括的な技術支援も行われており、高度な測定環境をワンストップで提供する取り組みが示されました。
CAE用途に最適なワークステーション「ThinkStation PX」と、高性能モニタ「ThinkVision P27u-20」の展示を行っていただきました。
「ThinkStation PX」は、アストンマーチンとの共同設計による自動車のフロントグリルのような意匠と優れた冷却性能が特徴で、効率的なエアフローにより常に最大限のパフォーマンスを維持できる仕組みや、デスク周りに置いても作業を妨げない静音性についてご説明いただきました。
EMC開発では、トラブルの原因特定が遅れることで手戻りが増えたり、EMI対策に高度な知見が要求されるため、属人化しやすくなったりすることがあります。こうした課題を解決するソリューションとして、EMC可視化装置「SmartScan」シリーズをご提案いただきました。
プローブを用いて各地点を測定し、地図のようなマッピング形式でノイズの発生源をピンポイントで表示するシステムで、目視が難しい小型基板にも対応。開発時間の短縮と部品コストの削減に貢献します。
ハイエンドGPU「NVIDIA RTX PRO Blackwellシリーズ」を搭載したワークステーション、「HPC5000-XERGPU4TS」をご紹介いただきました。
CST Studio Suiteを用いた電磁界シミュレーションのベンチマークでは、T-ソルバーによる大規模解析について、CPU構成と比較して計算時間を最大約6〜7分の1まで短縮できることなどをご説明いただき、GPU活用による解析高速化の有効性が示されました。
デスクサイドで自由に使いたい、サーバー室がなくても運用したいというニーズに対応した、電磁界シミュレーション向けハイエンドGPUワークステーションをご提案いただきました。
水冷機構により、H100/H200などのデータセンター向けGPUを搭載しながらも、100V環境での運用と静音性を実現。オフィスの自席でも利用しやすく、PoCで実機を持ち込んだ際には、「GPUのイメージを覆す静けさに驚かれます」とお話ししていただきました。
高速通信、電磁界シミュレーション、EMC・アンテナ設計などの分野に向け、材料の電磁波特性を高精度に測定し、電磁界シミュレーションに必要なパラメータ取得を可能にする「誘電率測定システム」を展示しました。CST Studio Suiteによる正確なシミュレーションにも有効で、誘電率測定に関するご相談も承りました。
この他、電磁測定モデルとして人体等価ブロック「人体ファントム」のサンプル展示も行いました。
ポスターセッションでは、CST Studio Suiteを活用した研究に取り組むアカデミックユーザーの皆様より、各分野における研究成果をご紹介いただきました。会場では関心を持った来場者様が担当者へ積極的に質問する姿が見られ、活発な意見交換が行われました。ここでは掲載許可をいただいた発表の一部をご紹介します。
無線通信技術を応用した、褥瘡(床ずれ)を早期検知するシステムをご説明いただきました。体を固定しやすい車いすアスリートを対象に、CST Studio Suiteを用いた解析で褥瘡検出の可否を検討。将来的には動きによるノイズを抑え、一般の車いす利用者や寝たきり患者への応用を目指しているとお話しいただきました。
カーボンベース吸収体の電磁特性を推定し、電子機器のノイズ低減に活用する研究を紹介。CST Studio Suiteによる電磁界シミュレーションと実測を組み合わせ、吸収体の複素誘電率や導電率を解析し、機器へ実装した状態を想定した検証など、実環境における吸収性能評価への取り組みもご説明いただきました。
ミリ波大気放電用電磁波源として開発が進むUT-94ジャイロトロンについて、加速電圧65 kV(設計値)での出力電力最大化を目的に最適運転パラメータの探索を行い、空洞共振器モデルによる電磁界シミュレーションを実施。空間電荷効果による電圧降下を考慮することで、エネルギー保存が成立することなどが示されました。
無線送電システムにおける送電マイクロ波のビーム形成と、受電アンテナの受電性能評価について、フェーズドアレイアンテナのビームパターンや電界分布を電磁界シミュレーションで解析。送電距離やアンテナ配置による受電効率の変化を検証し、高効率な無線送電システムの実現を目指しているとご説明いただきました。
研究室でCST Studio Suiteを使用する講義方針を紹介。プログラミングに不慣れな学生や、複数研究室から集まる修士1年の学生に配慮し、授業前半にExcelのセル参照でシミュレータの理論を体得させ、後半にCST Studio Suiteを使用。最終的に、反転授業で学生が自ら課題解決することが期待されています。
マイクロストリップ線路の伝送損失低減を目的に、導体下端角部へ曲率(R面取り)を付与した際の導体損失をCST Studio Suiteで解析。楕円の弧面取りで導体損失が約1割低減すること、円弧以外の形でも伝送損失を低減できること、損失増大の要因が角部付近の電流集中にあることなどが発表されました。
自動車への落雷対策として行った、雷撃試験についてご説明いただきました。車両内部の電磁界の様相を模擬できる解析モデルを構築し、ルーフから電流を注入。電子部品が密集する車両前方やエンジンルーム周辺への影響を抑えるため、電流を逃がす新たな接続方法が今回検討されました。
日本大学が高周波電子銃や、小型高輝度X線開発を行ってきた実績を受け、そのプロセスにおけるCST Studio Suiteの活用手法と成果を報告。U字型回転陰極を用いた高輝度X線発生装置の開発をCST Studio Suiteで行ったこと、斜入射用機能結合型偏向磁石への改良で、強度が約6倍になったことなどが発表されました。
今年もCST Studio Suiteのユーザー様が抱えているお悩みに、弊社技術担当者がお応えするサポートセンターを開設しました。完全予約制にもかかわらず、開会直後からたくさんのお申し込みをいただきました。
実際の解析におけるソルバー選定、設定方法など具体的な操作から、アンテナ・EMC・ケーブル解析・熱解析など多岐にわたる分野のご相談にお応えいたしました。
「参加されるお客様からは、設定方法や解析結果に関するさまざまなご相談をいただくので、一緒に画面を見ながらお応えしています。弊社はメールやお電話、Web会議でも日常的にサポート体制を整えていますが、普段は直接お話しする機会の少ないお客様と交流できる場として、担当者としてもサポートセンターを大切にしています。」(技術部サポートセンター担当)
ご相談時間は15分となっておりますが、その場で直接ご相談いただける機会として多くのお客様にご活用いただきました。実際のCST Studio Suiteを操作しながらご質問にお応えいたしますので、次回もぜひお気軽にお申し込みください。
講演終了後は、恒例の懇親会を開催。親睦の場として会場のあちらこちらで名刺交換や歓談が行われ、終始和やかな雰囲気となっていました。
懇親会はアットホームな雰囲気を心掛け、お一人の参加でも楽しめるよう工夫しております。
ユーザー様同士の交流や講演者へ質問できる機会として、さまざまなコミュニケーションにご活用いただきました。
本セミナーにご参加いただきました98社13大学224名の皆様、誠にありがとうございました。
参加者様の声を一部ご紹介いたします。
『非常に勉強になり、新たな発見もありました。今後もこのような情報収集や学習の機会を継続してほしいです。』
『ユーザー事例やEMC解析の事例紹介は、実務での活用イメージを深めるうえで大変参考になりました。』
『10年ほどCSTを使用しておりますが、今回が初参加で、新たな発見もあり、いい経験となりました。』
『対面で技術的な相談ができる機会は貴重で、シミュレーションの高精度化や高速化について理解を深める場として有意義でした。』
『新規ライセンスの導入を検討するうえでも、このような大規模イベントの開催は社内への説明材料として有効だと感じました。』
温かい声をありがとうございました。
参加者様からいただいた貴重なご意見を励みに、次回も技術情報の提供はもちろん、ユーザー様同士の交流にも役立つイベントを企画してまいります。詳細が決まりましたら、改めてご案内いたします。
AETは、本セミナーを通じて、ユーザー様による事例紹介や展示・ポスターセッション、弊社技術部による講演、サポートセンターなど、CST Studio Suiteの導入・活用・運用を支える機会を設けました 。今後も、ユーザー様の課題解決に向けた支援を継続してまいります。
CST Studio Suiteの導入や運用に関するご相談などございましたら、こちらのフォームもしくは044-980-0505までお電話ください。
まずはお気軽にご相談ください。
解析目的や現在直面している課題などお聞かせください。
