SAR - 球体ファントムモデル

人体頭部の測定は非常に難しいため、SAR基準は標準のファントムモデルを用いて定義されています。製品モデルのみシミュレーションを行うのではなく頭部ファントムモデルも含めることにより、SARの予測が可能になります。設計の早期からSARが予測できることは不具合や手戻りの削減につながります。

2種類の球体ファントムモデルを使用した解析例をご紹介します。1つは組織材質で満たしたガラス球のベーシックなモデル、もう1つはそのモデルに骨と組織を表す2つのレイヤを加えたモデルです。ダイポールアンテナを定義し励起源とします。下図ではダイポールアンテナを黄色の線で示しています。

図 1:組織材質とガラスのベーシックな頭部ファントム。黄色線は励起ダイポールアンテナ。
図 1:組織材質とガラスのベーシックな頭部ファントム。黄色線は励起ダイポールアンテナ。

835 MHzでSARシミュレーションを行いました。結果を図2に示します。さらに、同じ構造を測定した結果とシミュレーション結果の比較を図3に示します。2つの結果はほぼ一致した放物線を描いています。

図2:ファントムモデル内部断面に投影したSAR値
図2:ファントムモデル内部断面に投影したSAR値
図3:基準線(図2の橙色で示す)に沿うSAR値の比較
図3:基準線(図2の橙色で示す)に沿うSAR値の比較

次に、頭蓋を模擬した少し複雑なモデルによるシミュレーションを行いました。

図4:簡単な頭蓋モデルを加えた不均質なファントムモデル
図4:簡単な頭蓋モデルを加えた不均質なファントムモデル

中心を外れた経路に沿うSAR値の比較では、均質なモデルと不均質なモデルに明らかな差異が見られました。複雑なモデルの方が高い値を示し、複雑なモデルでも十分ではないケースがあることを示唆します。

図5:ベーシックモデル(青)と不均質モデル(赤)のSAR:1.95 GHz
図5:ベーシックモデル(青)と不均質モデル(赤)のSAR:1.95 GHz
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