2024年5月17日(金)に東京コンファレンスセンター・品川にてCST Studio Suite Tech Seminar 2024を開催しました。
昨年の反響を受け、会場とプログラムをスケールアップした今回のセミナーには、予想を大きく上回る106社214名の方にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様には、心から感謝申し上げます。
CST Studio Suiteに関する技術的な情報収集の場として、そしてユーザー様同士の交流の場としても活用いただきたいという思いのもと会場規模をスケールアップして開催した本セミナー。写真を交えて当日の様子をご紹介いたします。
CST Studio Suite Tech Seminar 2024では、テクノロジーの未来を見据えた基調講演、CST Studio Suiteユーザー様による解析事例の紹介、そしてAETによる技術トピックスなど16の講演を行いました。
前回よりもエリアを拡大したオープンスペースでは、研究・解析分野で躍進する5社による企業展示に加え、 アカデミックユーザーの皆様によるポスターセッションも開催。
ユーザー様の日々の疑問を解決できる場として毎回ご好評をいただいているCST Studio Suiteのサポートセンターも設置し、セミナー後の懇親会も大変活況で1日を終えました。
基調講演では、豊橋技術科学大学 未来ビークルシティリサーチセンター 特任教授の大平 孝様に「21世紀のワイヤレス給電理論」を大ホールにて発表いただきました。
本セミナーでは、幅広い分野のユーザー様が抱える技術課題に寄り添い、解決のヒントとなるような有益な情報を提供しております。各講演の開始に合わせて毎回多くの参加者の皆様が会場に流れ込み、最新技術の知識や情報収集への熱意を感じる1日となりました。
「理論」はシミュレーションの現場で必要なのか?
AIが普及する現代において、システム設計者にますます必要とされるのが過去の延長線上ではなく未来志向での思考です。本講演では、エンジニアとしての直感力や洞察力を磨くための基礎となる「理論」について、参加者に問いかけるインタラクティブな形式で解説しました。講演ではイラストや図表、ビデオなどを多用し、普段大学で教鞭をとられている大平様ならではのどなたにもわかりやすい講演となりました。
さらに、今世紀に入って急速に注目されている研究分野であるワイヤレス給電を取り上げ、そのシステム設計のために構築してきた高周波理論をいくつかご紹介いただきました。
その他、高速化・多様化が進む最新の傾向に合わせて、ダッソー・システムズ社より新しいハイブリッドソルバーを紹介する「Dassault Systèmesからのメッセージ」、そして当社 技術部次長兼サポートマネージャーの上沢彰洋による「解析環境構築とライセンスモデルの選択」の講演も行いました。
多くのライセンスをご活用頂いているヨコオ様からは、社内で快適に解析サーバーを利用するための運用上の工夫や経験談をお話しいただきました。
CST導入・利用状況についての紹介、ライセンス・マシンスペックによる運用の分け方、各サーバーマシンの利用アカウント設定、ユーザーの利用ルールとログイン管理など、実際の解析のシーンで生じがちな疑問を解決するヒントが満載の講演となりました。
世界でもユニークな受託研究を専門とするユニークな企業。研究のハブとなり、中立的な開発支援を行う立場から講演を行っていただきました。
今回は、5Gや6Gのエリア拡大に有効と期待されるミリ波通信用のメタサーフェス反射板に関する事例をご紹介いただきました。低コストやオーダーメードに対するニーズに対して親和性の高いインクジェット法は、オンデマンドでスピーディーに反射板を作ることができます。
インクジェット法の課題であるパターン精度が反射特性に与える影響について、実形状に基づいた電磁界シミュレーションと、反射表面近傍における電磁場分布の可視化評価との比較検討結果についてご紹介いただきました。
基板解析を実施する際によくぶつかる問題や悩みに対して、AETのサポートを通して解決し、さらに効率化した過程についてご紹介いただきました。
多くのユーザー様にとっても共感できるような「メッシュ設定」や「ポスト処理による効率化」などの悩みも多く、非常に参考となりました。
長らくの課題とされていたことをAETのサポートへの相談をきっかけに解決できた、といった嬉しいお言葉も頂戴いたしました。
5G・6Gやクラウドの登場やリモートワークの普及を背景に、データ転送の場面では大容量かつ高速な伝送が求められています。こうした高速信号用の伝送路では表面処理が大きく影響するため、シミュレーションでも正確な考慮が必要となります。今回の講演では、伝送時の影響に関する確認やどういった工夫が必要かのノウハウに関して測定データを交えてご紹介いただきました。
毎年開催されているEMC設計技術実践講座やESD解析の取り組みについて具体的な事例とともにご紹介いただきました。
EMC設計技術実践講座についてのご紹介から始まり、ESD試験、モデル作成事例や実測との比較をテーマにお話しいただきました。
実際のESD解析で利用した基板レイアウトや一般的なESDトラブル事例、シミュレーションの仕様など、プリント基板を扱う技術者が疑問を抱きがちなポイントも具体的にお話しいただきました。
海外の自動車業界での先進的なシミュレーション活用事例についてご紹介いただきました。
ヨーロッパ大手の自動車メーカーによるEMC対策シミュレーションの考え方や、電装部品メーカーの開発事例など、多くの興味深い事例についてダイジェストで解説いただきました。
弊社技術部からは、CST Studio Stuiteに関する幅広い分野での技術トピックスや、シミュレーションの現場で役立つヒントについて8つの講演を行いました。
企業展示ブースでは、アンリツ株式会社、HPCシステムズ株式会社、GDEPソリューションズ株式会社、株式会社KRIの皆様のご協力を得て、CSTを活用した研究・分析に必要なソリューションに関する展示をしていただきました。また、弊社も展示を行いました。
5G・6Gの登場、クラウドやワイヤレス化に伴い、データ転送の場面では大容量かつ高速な伝送が求められるようになりました。これらを支える基板伝送線路のミリ波帯評価における課題に対応するベクトルネットワークアナライザでの測定ソリューションをご紹介いただきました。
インピーダンス測定と伝送損失測定が1台で可能な高周波・高速通信基盤伝送評価ソリューションは、従来よりコストパフォーマンスが向上しました。
ハイパフォーマンスコンピューティング分野におけるソリューションを展開するHPCシステムズ株式会社。最新GPUを用いたベンチマークレポートや、ディープラーニング(深層学習)向けハイエンドGPUワークステーションのHPC5000-XSRGPU4TSを展示、ご紹介いただきました。
時間のかかる電磁界シミュレーションをGPUで実行することで大幅なスピードアップが図れます。CST Studio Suiteにおいても、最新GPUを使用することで最新CPUと比べて10倍以上高速に計算することが可能になります。
ワークステーションで利用するハイエンドGPUは、消費電力が高く騒音も気になります。近年のCPUとGPUの高性能化に伴い、消費電力や排熱量が大幅に増加した高性能GPUの利用は、同じオフィスにいる他の人に負担をかけてしまうことがあります。
こうした課題を解決する「液冷GPU搭載ワークステーション」や、初期投資コストを最小限に抑える「GPUレンタルサービス」をご紹介いただきました。
世界でもユニークな研究・分析・調査の受託事業をワンストップで展開する株式会社KRI。研究分野は、材料、エネルギー、バイオ、カーボンニュートラル関連など多岐にわたります。今回は、幅広いジャンルの企業や研究の場面で注目が集まる「次世代通信」に関連したサービスについて展示を行っていただきました。
多くの方が一度は耳にしたことがある「次世代通信」というアプローチしやすいトピックスをきっかけに、様々な方にお立ち寄りいただき、事業をご紹介いただきました。
開発や製造などの現場で必要とされる精度の高いシミュレーション。より正確なシミュレーションの実現に役立つAETの誘電率測定システムを展示し、ご相談もお受けしました。
これまではカタログデータに頼らざるを得なかった測定のシーンでも、誘電率測定装置を活用すればサンプル素材をもとに実際のデータが測れます。
今回は、フィルター合成ツールFD3Dを活用して実際に製作したキャビティフィルターと、フィルターを自動チューニングする試作装置も展示しました。
CST Studio Suiteを活用した研究を行うアカデミックユーザーの皆様から、多様な分野の研究に関するポスターセッションも開催しました。
テラヘルツ天文学用に行う、超伝導バンドパスフィルターの開発について。
広帯域・高分解能に向けたフィルターの選定などを変更しながら放射損や伝導損の影響を調査した結果を発表いただきました。
陽電子源開発における多くの課題をCSTを活用してシミュレーションされました。
CSTを用いた電磁場の計算、荷電粒子の軌道計算、ジュール熱による発熱計算、発熱分布からの温度計算、ビームが作る電磁場の計算などを発表いただきました。
大学病院と提携して、マイクロ波で褥瘡(床ずれ)を検知するシステムを研究。
褥瘡の早期発見により、患者だけでなく医療従事者や介護者の負担軽減が期待されます。高齢化が進み、寝たきりとなる人も増えている日本において、未来への期待が高まる発表となりました。
反水素原子ラムシフトおよび微細構造分光に向けた伝送線路型、空洞共振型のマイクロ波装置の開発に関する研究を発表いただきました。
ミリ波通信用の広帯域 2 × 2 マイクロストリップ パッチ アレイ アンテナについての研究発表。
海外からの留学生ならではの、日本の研究ではあまり見られない広帯域に着目した自由な発想の研究を発表いただきました。
より大きなプラズマである、スロットアンテナプラズマを用いたY2O3成膜実験について発表いただきました。電磁界シミュレーションを用いたスロットアンテナにおける電界強度と分布の調査について発表いただきました。
担当者が画面を一緒に見ながら、CST Studio Suiteのユーザー様が日頃抱える疑問や質問にお答えするサポートセンター。
ご利用いただいた方からは「もっと話したい」という声が多く聞かれるほど大変ご好評いただき、皆様から熱心なご質問が寄せられました。
講演終了後は、さらなる交流の場としてユーザー会恒例の懇親会を開催いたしました。
初めてご参加の方でも会話がしやすい会場づくりを心がけ、講演者も交えてご歓談いただきました。
懇親会はアットホームな雰囲気を心掛け、1名様の参加でも楽しめるよう工夫しております。
ユーザー様同士の交流や講演者への質問の機会として、さまざまなコミュニケーションにご活用いただきました。
本セミナーにご参加いただきました106社214名の皆様、誠にありがとうございました。
参加者様の声を一部ご紹介いたします。
『毎年このような会を開催いただき感謝しております。この会により、CST がより身近に、頼もしく感じられています。
今後のロードマップを聞けたのも大変良かったです。今後の進化にも期待しています! 』
『大変素晴らしいイベントと思います。』
『サポートセンターを利用させていただき、大変参考になりました。』
温かい声をありがとうございました。
参加者様の声を励みに、次回も技術的かつユーザー様同士の交流にも役立つイベントを企画したいと考えております。内容が決まりましたら、改めてご案内いたします。
AETは製品やプラットフォームの提供だけにとどまらず、「お客様の期待を超えるご提案を目指して」をモットーに、ユーザー様の技術課題に寄り添い、解決に向けて伴走いたします。導入や最適化のご相談はもちろん、各々の状況に応じた柔軟な提案やサポートコミュニティなどを提供しております。
CST Studio Suiteに関するお問合せは、こちらのフォームもしくは044-980-0505までお電話ください。
まずはお気軽にご相談ください。
解析目的や現在直面している課題などお聞かせください。