AET技術部スタッフによるCST Studio Suiteの技術内容を深堀して紹介する技術トピックス、その第一弾としてCSTの全ソルバーをご紹介します。 (2022年バージョンに改訂しました)
2017年まではCSTでは18種類のソルバー別に必要なライセンスを購入いただく方式(アラカルト方式)でした。 2018年、CSTがダッソー・システムズに加わったタイミングで複雑なライセンス方式の解消を目的として、すべてのソルバーを自由に利用頂けることになりました。
静電磁場から高周波までの充実したソルバーラインナップを必要に応じて使い分けができる、真の意味での「トータルソリューション」のご提供が実現できました。
CST Studio Suiteのソルバーを特性別に分類すると上記の通り7分類に大別できます。 回路システムシミュレータが中心に位置しており、他の6つの分類と関連性のある表示になっているとおり、CSTでは回路システムシミュレーション機能が連携の要となり、 回路と3D電磁界、または電気―熱の連成解析など、高度なシミュレーションを可能としています。
CST独自の高速・高精度な解析が可能な時間領域ソルバーをはじめ、各種解析手法とメッシュ技術を備えています。 モデルに合わせて最適なソルバーを選択することで、多岐にわたるアプリケーションや小規模から超大規模の幅広いモデルの3次元電磁界解析に対応します。
CSTの代名詞的存在である、時間領域ソルバーと、有限要素法の周波数領域ソルバーが汎用性の高い2つのソルバーになります。
低周波や定常状態の3次元電磁界解析に特化したソルバーが揃っています。 回路定数や損失の算出といった、解析や設計を効率よく進めるための便利なプリ・ポスト処理機能を備えています。
2019年から新たに加わった Partial RLC Solverに注目です。電子部品の形状から寄生パラメータ(RLCG)を抽出、SPICEモデルを生成することが可能です。 さらに、2022年からは半導体の電荷拡散現象を解析するDrift-Diffusion Solverも登場し、より広範囲の物理現象の解析が可能となりました。
低周波から高周波までの3次元電磁界と荷電粒子運動を高速高精度に解析するソルバーが備わっています。 マグネトロンの設計や加速器コンポーネントの設計、低速なプラズマ現象の解析まで、幅広い応用に向けた多彩な機能を有しています。
荷電粒子運動解析はCSTの創設者 ドイツDarmstat工科大学 元教授のThomas Weiland博士が最初に数値解析を適用した分野でもあり、この分野での解析性能は商用ソフトウェア随一と言ってよいラインナップです。
電磁界とマルチフィジックスの連携シミュレーションに向けた熱解析と構造解析のソルバーを備えています。 連成解析のためのワークフローが用意されており、他のソルバーの結果を用いた連成解析を簡単な操作で設定し実行できます。
マイクロ波加熱やIH加熱のように電磁損失を熱源とした発熱現象に対し、CSTの電磁界解析結果をスムーズに連成させたシミュレーションが可能となっており、現在では多くのユーザー様が熱解析にも取り組んで頂いています。
プリント基板レイアウト設計者にも馴染みやすいGUIで、EDAレイアウトツールから読み込んだ設計データの等価回路を生成し回路シミュレーションを行えます。
IRドロップやSI解析、PI解析を簡単に実施できるワークフローを備えています。
SI/PI解析に加えて ルールチェック機能も備わっています。 配線規格(DDR/USB/PCIeなど)に応じて各ルール基準が設定されており、高速にレイアウトチェックが行えます。 また、IR Dropの解析結果を熱源とした発熱解析のワークフローも用意されています。
ケーブルモデルの解析に特化したツールで、モデルの作成と電磁界解析が行えます。 複雑なケーブルハーネスモデルでも、操作性に優れたインターフェイス上でモデルを作成することができます。
伝送線路理論の等価回路モデルを用いて、ケーブルのSI(Signal Integrity)解析やエミッション、イミュニティのEMC解析を行えるのに加えて、 3Dシミュレーションを組み合わせて、自動車や航空機に配置されたケーブルの解析といったマルチスケールの解析も可能です。
最後に各解析機能を連携する要となっている回路シミュレーション、システムシミュレーション機能をご紹介します。
CST Studio Suiteは共通プラットフォームでシステム全体を管理します。 直感的に操作できるGUIで、複数のモデルや回路を組み合わせたシステム設計や複数のモジュールによる連成解析を簡単に実行できます。 練成解析の実際の例などについては別のトピックスでご紹介を予定しております。
以上、CST全ソルバー紹介をお届けしました。 あらゆる電磁界解析をカバーするOne Packageソリューションを標榜するCST Studio Suiteをぜひご活用ください。
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