2021年10月1日
#アンテナ

CSTを用いた5G端末FCC認証シミュレーション

無線端末の製品開発において、FCC(米国連邦通信委員会)を代表とする各国の無線通信に関する規制への適合認証は必須であり、ミリ波帯を活用する5Gにおいては、従来の実測に加えてシミュレーション結果の提出も求められます。 CST Studio Suiteバージョン2021で新たに搭載された5Gミリ波モジュール搭載機の重要な性能指標:EIRPのCDFプロット及びsPD算出機能を詳しくご紹介します。

ミリ波帯における5G端末のRF性能

5Gが利用する周波数バンドのうちFR2(Frequency Range2;24.25GHz~52.6GHz)では端末側においてもカバレッジを確保する目的でアンテナアレイによるビームフォーミングが導入されています。 端末の送信電力性能の指標としては、TRP(Total Radiated Power:全放射電力)に加え、 端末を中心とした全方位にビームスキャンしたときの各方位におけるEIRP(Equivalent Isotropic Radiation Power:等価的等方放射電力)の累積分布(CDF:Cumulative Distribution Function)が規定されています。 例えばCDF=30%、つまり全球面空間上の70%において最低担保されるべき送信電力(Spherical coverage)が10dBm、などのような評価に用いられます。

累積分布を用いたEIRP
累積分布を用いたEIRP
ミリ波帯の人体暴露評価指標

6GHz以下の周波数では単位質量当たりの電力損失量としてSAR(Specific Absorption Rate)による評価をおこなっておりますが、 6GHz以上の周波数では体表面の単位面積当たりを通過する電力量としてsPD(Spatial average Power Density)で評価します。 これは、波長短縮効果により体表面で大きく減衰する特性を持つミリ波帯においてはSARでの評価が適当ではなくなることが背景にあります。 6GHzから30GHzまでは4cm^2あたり、30GHzから300GHzまでは1cm^2あたりと単位面積が規定されています。

CST Studio Suite 2021の5G Wizard

CSTでは5Gミリ波アンテナアレイを解析した後のポスト処理機能として、ビームスキャンした放射パターン出力からEIRPのCDFプロット作成とsPDの算出を行う専用メニューが追加されました。 Wizard形式での設定入力を行うだけで複雑な処理工程が自動化され、他のツールに頼ることなく必要な結果が得られます。 ビームスキャンに対するアレイアンテナの給電についてはCode Bookと呼ぶファイルを介して設定する方式が採られており、AIP(アンテナインパッケージ)のモジュールベンダーよりCode Bookを取得してスキャン条件を設定することが可能です。 AIPの解析モデルも暗号化モデルとしてベンダーより入手可能な仕組みも整備されています。

解析例

アレイアンテナモジュールを搭載するスマートフォンサンプルモデルでご説明します。 こちらのサンプルには2×2のアンテナアレイ、4×1のアンテナアレイのモジュールがそれぞれ2つ搭載されています。 アンテナはパッチアンテナであり、各アンテナに給電ポートが設定されています。(全16ポート)フルポートの解析を終えたのちに5G Wizardを立ち上げます。 設定項目は周波数選択、Code Bookの指定、sPDの領域設定などです。

スマートフォンサンプルモデル
スマートフォンサンプルモデル
Nextポスト処理を効率的に出力するための工夫、実際の解析例のご紹介
この続きを読むには…
この記事は、会員限定記事です。
会社名
株式会社エーイーティー
所在地
〒215-0033
神奈川県川崎市麻生区栗木2丁目7番6号
TEL:044-980-0505(代表)
CST Studio Suiteは ダッソー・システムズの製品です。ダッソー・システムズについては

ダッソー・システムズ株式会社はフランスに本社を置くソフトウェア開発企業です。
CAD CAM PDM PLM シミュレーションを始めとする卓越した3DEXPERIENCEを通じてお客様の3次元設計・エンジニアリング・3次元CAD・モデリング・シミュレーション・データ管理・工程管理を強力に支援します。

CST Studio Suiteは ダッソー・システムズのシミュレーションソリューションブランド SIMULIAの製品です。

 sample