3次元的に動く荷電粒子を的確に把握することは必ずしも簡単ではありません。 荷電粒子ビームに関しては2次元軸対称で考えられるケースもありますが、やはり3次元的な振る舞いを捉えることは重要です。 シミュレーションによって3次元的な荷電粒子の運動を可視化すれば、その複雑な振る舞いを容易に把握することができます。 ここではCST Studio SuiteのTrkソルバーでエッジフォーカスのシミュレーションをし、その3次元的振る舞いを観察します。
エッジフォーカスの効果を見るために、陽子ビームを偏向する単純な偏向電磁石のモデルを作成しました。 以下の図のようにビームが磁石の境界に垂直に入射されず、ある角度θで入射されるとその境界で集束または発散が起こります。 このレンズ効果をエッジフォーカスと呼びます。
偏向電磁石によって生じる磁場のシミュレーション結果を以下の図に示します。 ビームの偏向はこの電磁石による磁場のZ方向成分によります。 磁場はヨーク間のギャップだけではなく、図をご覧の通りギャップから離れた位置にも膨らむようにして分布しています。 そのため、陽子ビームはギャップに入射する前にも磁場の影響をわずかながら受け、ある程度偏向します。 また、この漏れ出している磁場はXY平面から離れるにつれてY方向成分を持つようになります。 この成分はビームの進行方向と平行となるのでビームの偏向には寄与しません。 ただしビームの集束・発散に寄与します。 これはビームが磁石の境界に対して角度θで入射するためで、垂直(θ=0)に入射した場合はビームの集束・発散に寄与しません。
この偏向電磁石の磁場によってどのように陽子ビームが偏向し、そのビーム軌道やビーム径が変化するかをシミュレーションしました。
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