イオン源の多くはプラズマからイオンを引き出してビーム状にしています。 そのため、固体表面からの粒子放出とは異なり、条件によって放出面の形状が異なるので注意が必要です。 ここではプラズマ(正)イオン源のメニスカス形状変化を含めたシミュレーションを紹介します。
Trkソルバーの粒子源設定で「Plasma Sheath」を粒子放出モデルとして選択することでプラズマによる正イオン源のシミュレーションが可能です。 ここではまず下の図に示すような引き出し電圧50kVのイオン源を計算しました。 プラズマ室から得られたビームは発散が小さく、電極にあたることなく電極の孔を抜けていくことができています。
このイオン源を30kVのイオン源として動作させることを考えてみます。 このままの設計で加速電圧を30kVに下げるだけでは、下の図に示すようにビームの集束性が悪く電極にあたってしまいます。 このイオン源は50kV程度で最適化されているため、30kVのイオン源として使用するには設計を再検討する必要があることがわかります。
30kVのイオン源として最適化する際には着目すべき点がいくつかありますが、Trkソルバーの計算で得られたメニスカスの形状を下の図のように比較することにします。 すると、50kVでは凹になっていますが30kVではやや凸になっていることが分かります。 30kVで集束性が悪い原因はこのメニスカスにあると考えられます。 そこでメニスカスの形状を改善するための検討を行います。
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