荷電粒子がRFやマイクロ波などと相互作用すると3次元的かつ過渡的な運動をするため、その動きはより複雑となります。 このような場合はシミュレーションによって荷電粒子の運動を可視化すれば、その振る舞いを把握しやすくなります。 今回はParticle-in-cellアルゴリズムを用いているPICソルバーを使って、電子ビームの速度変調の様子を観察します。
下の図に示すようなS-bandのマイクロ波空洞に電子ビームを通過させることを考えます。 電子ビームはマイクロ波空洞内部に発生した電界によって速度変調し、バンチと呼ぶ電子の塊となります。 この過程はバンチング、または、集群と呼ばれています。 このような速度変調はクライストロンの大電力マイクロ波発生や高エネルギー加速器の高効率加速などで重要な過程です。 ここではEigenmodeソルバーを使って電界を計算しました。
Eigenmodeソルバーで計算したこのマイクロ波空洞によっておこる速度変調をPICソルバーでシミュレーションした結果、電子運動は下の図に示すようになりました。 マイクロ波電界はEigenmodeソルバーによって得られた結果をPICソルバーへインポートすることで行いました。 入射した電子のエネルギーは200keV、電流は1A、直径は1cmのDCビームとしています。 また、ビームの発散を抑えるためにビーム進行方向に沿った向きに0.025Teslaほどの均一磁界を印可しています。 色は運動エネルギーの大小を示しており、マイクロ波空洞内で生じた電界による電子ビームの加減速の様子が見て取れます。
以下ではこのPICソルバーの計算結果をもう少し詳細に分析します。
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