2022年4月27日
#EMC #EDA

CSTのケーブル解析ソリューション

CST Studio Suiteには、3D空間内に配線されたケーブルハーネスを効率的に考慮したEMCシミュレーションを可能とする機能が標準で含まれています。 本トピックスではケーブルのモデル化と解析手法について解説と適用事例をご案内します。

ケーブルについて

ケーブルは制御信号の伝送路や電源供給路として電子システムの内外に張り巡らされており、人体に例えると神経・血管に相当します。 情報及び電力を伝えるケーブルは、しばしばノイズを伝える伝搬経路、ノイズを放射するアンテナとして機能してしまうため、 システムレベルのEMCシミュレーションでケーブルを考慮することは非常に重要です。 軽量小型化、高密度化が求められる各種電子機器を始めとして、ロボットやドローンのように駆動系と電子制御が高度に統合されたシステム、 高電圧系と制御系が共存する電気自動車など、多くの対象においてケーブルを考慮したEMC対策が重要な課題となっています。

ケーブルの構造

ケーブルは用途によって様々であり、リボンケーブルやツイスト構造、編組シールドなどの要素が複合した無数のバリエーションがあります。 ケーブルの構造として同軸ケーブルのシールドを例に挙げると、編組と金属箔を組み合わせた複雑な構成であり、編組のワイヤ径、本数などの条件でもシールド性能が変わります。

同軸ケーブルの編組シールド構造
同軸ケーブルの編組シールド構造

このような同軸ケーブルをフル3D構造で電磁界解析する場合、編組のワイヤ1本ずつモデル化が必要となります。 実際にモデル化し、シールド上の電流分布を解析したイメージは以下の図になります。

編組シールドの詳細なモデル化とシールド上の電流分布の解析結果
編組シールドの詳細なモデル化とシールド上の電流分布の解析結果

この同軸ケーブルが長い距離レイアウトされた装置全体を解析することを想像すると、解析負荷が非常に膨大となることが容易に想像できます。 そのため、ケーブルを含むシステムのEMCシミュレーションを実現するためには、ケーブルを効率的にモデル化する解析手法の適用が必要となります。

CST Studio Suiteのケーブル解析機能とは

CST Studio Suiteでは最初のステップとして、3D空間のレイアウトされたケーブルを等価回路網へ変換します。 ケーブル断面形状に対し、2DTLモデリングと呼ぶ解析を行うことで、配線間および周囲構造との容量結合や単位長さあたりのインダクタンス、抵抗成分を含む回路網を抽出します。 回路網として表現されたケーブルは、3D空間のメッシュ分布に等価的に配置されます。 ケーブルの信号伝送に関しては回路解析を実施し、得られたケーブル上の電流・電圧の情報をメッシュ上の電界・磁界の情報と相互に交換することでケーブルと3D電磁界の相互作用を解析します。

※ケーブルの等価回路抽出機能については、技術トピックス [CSTは3種類の等価回路抽出機能を提供します]でも解説しておりますのでご参照ください。

ケーブルを含むシステム解析の流れ
ケーブルを含むシステム解析の流れ

ケーブルと3D電磁界の相互作用は過渡応答として同期させる必要があり、電磁界解析の手法も自ずと時間領域のソルバーを使用します。

Next ケーブル定義+レイアウト方法、解析手法、解析の具体例
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