世に出ているアンテナの種類や前提理論、設計ノウハウは実に多様で、作成にはそれらの知識を身に着けた人材が必要とされ、加えて知識の引継ぎ、管理も楽ではありません。 Antenna Magusは世界初のアンテナ設計専用ツールであり、備えられている豊富なデータベースやナレッジツールとしての機能により、前述の労力削減や管理の簡便化を実現します。 今回はAntenna Magusの概要とその便利な機能についてご紹介いたします。
最新バージョンのAntenna Magusには下図のように370以上のアンテナデータが用意されており、その中から名称検索だけでなく、要求仕様へのマッチ度で昇順表示させることも可能になっております。 また各アンテナデータにはそれぞれ設計ノウハウなどの背景データや、構造パラメータによる放射の変化を簡易確認できる設計UIも用意されております。 そのためユーザのアンテナ設計経験に依らず、直感的な簡単操作によって所望のアンテナモデルを設計することが可能であり、初期設計に掛かっていた工数を大幅に減らすことができます。
例えば下図では5G基地局を想定し、通信規格から検索を実行した結果を示しています。 このようにAntenna Magusには各種分野別に通信規格のデータも用意されているため、ユーザが調査・入力する手間を減らせます。 さらに周波数や放射レベルだけではなく、アンテナの許容寸法からも絞り込みを行えるため、多様なアプローチでアンテナ候補を表示し比較することが可能です。 下図では仕様検索した結果、40種のアンテナが候補として表示され、それぞれの候補は仕様とのマッチ度に応じヒット順に一覧表示されています。 Antenna Magusの検索機能を活用することで、要求仕様を元にアンテナ候補の絞り込みを行い、初期設計段階へと即座に移行できます。
Antenna Magusの優れている点の1つとして、アンテナ単体だけでなく電源供給部やコネクタ、各種理論計算などのデータも用意されています。 例えば下図ではGUIに備えられているLibraries and Toolsを示しており、それぞれアクセスすることでWaveguideやコネクタ類のデータ一覧や伝搬減衰の理論値などが参照できます。 またAntenna Magusは電磁界シミュレーションツールであるCST Studio Suiteと密接に連携しており、設計したアンテナモデルは構造パラメータを含むプロジェクトファイル(.cst)としてExportできます。
Antenna Magusで作成したアンテナモデルをCST Studio Suiteのモデルへと変換することで、アンテナ以外の構造を含めた解析や、大規模空間での電波伝搬を計算することが可能となります。 下図ではCSTとAntenna Magusの3Dの遠方界(指向性ゲイン)結果を比較しています。 どちらの結果も良く一致していることから、Antenna Magusによる設計精度の高さを示しています。
下図はAntenna MagusからExportしたアンテナモデルを、工場内に配置してシミュレーションを行い、電界強度分布をプロットしたものです。 このようにAntenna MagusとCST Studio Suiteを連携することで、広い空間におけるアンテナ配置場所の検討などが容易にできます。
またAntenna Magusで作成したモデルは効率的に計算するためのSolver選択が、Port設定やメッシュのリファインと共に与えられており、 構造パラメータなども引き継ぐため、CSTで改めてモデルの設定を施す必要がなく、即座に電磁界シミュレーションを実行することが可能です。 さらにCSTのOptimizer機能を活用することで、より細かな仕様への最適化を実行するなどの幅広い対応もできます。
Antenna Magusは外部のアンテナデータをテンプレートとして追加することも可能です。 この機能を活用することによって、ユーザが開発したアンテナの設計ノウハウや構造データをまとめて簡単に管理できます。 Antenna Magusをアンテナのデータベースツールとして利用することで、新設計や既存製品の改良、エンジニアの引継ぎなどの際、大幅な工数削減が図れます。
このようにAntenna Magusはアンテナの初期設計を補助するだけでなく、設計したアンテナモデルのデータベース化にも対応しております。 さらにCST Studio Suiteとの連携によって、様々な環境下でのアンテナのシミュレーションにも対応でき、アンテナ設計や管理に関する様々な場面で役立ちます。
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